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歯医者の経営で最も軽視されている人材の採用

[2016年09月02日]

私は歯科業界に入る前は、採用コンサルタントとして数多くの企業における採用活動のサポートをし、更には大手企業の採用リーダーとして、数多くの学生を採用してきました。その中で「人材こそ最も重要な経営資源」という考えのもと、人に関わる仕事「採用、教育、評価、制度」に対して多くの企業が投資を惜しまない環境に身を置いていました。それ程、会社において“人事”が重要だと位置付けているからです。

その経験の後に、縁があって歯科業界に飛び込んだ訳ですが、歯科業界で一番初めに驚いた事は、人に関わる業務がとてもお座なりにされている現場が非常に多かった事です。もちろん時間とお金を掛けて熱心に対応している医院もありますが、多くの医院が優先度低く捉えており、後回しにしてしまっている現状に驚きました。その結果、スタッフはいつまで経っても定着せず、新しい人が入っては辞めるのを繰り返し、組織としての秩序やまとまりがない医院が多く存在しているものだと考えられます。

診療所の組織を強固なものにしたいのであれば、先ずは採用を変えるべきです。例えば、履歴書を見ながら15分程度世間話をして、「この子なら長続きするかな?」という安易な考えのもとに採用面接をしていませんか?採用活動は診療所の10年後を見据えたとても重要な仕事です。診療所のビジョンを語り、その人の仕事に対する価値観を把握し、診療所として求める仕事内容を明確に伝え、最終的に選考者の方から「是非働かせて下さい!」とお願いされる状態を創り出すことができれば、あなたの診療所は間違いなく変わります。

また、多くの方が「技術」や「コミュニケーション能力」などに評価項目を置いています。もちろん、前提として上記の項目も重要ではありますが、一番大切なのは組織に対してコミットメントができるかどうかです。要は組織のために時には自己犠牲も払い、組織のため、誰かのために考えて行動することができるかどうかです。この要素をもって入口管理(エントリーマネジメント)ができている診療所は少ないように思います。

採用が変われば間違いなく組織が変わります。もちろん、採用した後の教育も大切ですし、現在、歯科衛生士はもちろんのこと、歯科助手でさえ採用することが難しくなっています。しかし、だからこそそこに注力をするべきだと考えます。そして、「どんな人材を採用したいのか」「どんな組織を作りたいのか」という、初めは漠然とした考えでも良いので、是非この機会に、自院の採用活動を見直してみては如何でしょうか。